最近、ハルの開発をしていて、一番よく思うことがあります。
返事、もうちょっと早くならないかな。
AI音声って、どうしても少し待ち時間があります。
話しかける。
ハルが聞く。
考える。
しゃべる。
この「考える。」の時間。
数秒なんですけど、やっぱりあります。
開発者なので、
「くそー。」
って思います。
「あと1秒削りたい。」
「0.5秒でも縮めたい。」
そんなことばっかり考えています。
でも。
最近、ちょっと違うことを思うようになりました。
これ、本当に悪いことなんでしょうか。
実は私は、返事が異常に速い人がちょっと苦手です。
飲み会とかで、
何を言っても即座にツッコミが返ってくる人。
頭いいなぁと思う反面、
「この人、本当に話聞いてるのかな。」
って思う時があります。
逆に、
ちょっと考えてから返事をする人。
「あー。」
「うーん。」
「そうだなぁ。」
って考える人の方が、
私は好きです。
もちろん、人によるんですけど。
だから、AIを作っていて、
「速さだけが正義なのかな。」
って思うようになりました。
そもそも、人間ってそんなに会話が上手でしたっけ。
私はそう思っていません。
特に親との電話。
うちなんか、
「元気?」
「元気。」
「そっちは?」
「元気。」
ここで一回終わります。
そして沈黙。
お互い何も話さない。
でも切らない。
不思議ですよね。
何も話してないのに、
何となく電話が続く。
子どもの頃は、
こういう沈黙が嫌でした。
「何か話さなきゃ。」
って思っていました。
でも最近は、
まあ、別にいいか。
って思います。
AIって、この沈黙が苦手なんです。
真面目なんですよ。
すぐ返事しようとする。
気を遣う。
空気を読もうとする。
でも、
人間って結構適当です。
「あれ。」
「何だっけ。」
「まあいいや。」
って普通に言います。
この前なんか、
母親と電話してて、
二人とも何の話してたか忘れました。
「あれ、何の話だっけ。」
「知らない。」
「まあ元気ならいいか。」
で終わりました。
そんな会話ある?
って思います。
でも、それで十分なんですよね。
もちろん、
開発者としては、
返事は速くしたいです。
速い方が技術的には優秀です。
音声認識も。
AIも。
音声合成も。
全部進化しています。
数年後には、
人間と変わらない速度で会話できると思います。
多分。
いや、多分じゃないな。
できると思います。
でも。
ちょっと怖い気もしています。
AIが完璧になったら、
つまらなくないですか?
これ、開発者が言うことじゃないかもしれません。
でも、
ちょっと思っています。
完璧に聞き取る。
完璧に理解する。
完璧な返事をする。
そんな相手と、
30分雑談したいかって言われると、
私はちょっと疲れそうです。
人間だって、
聞き間違えるし。
話を勘違いするし。
急に昔の話始めるし。
同じ話三回するし。
高齢者なんて、
五分前の話に戻ることもあります。
でも、
それを
「バグ。」
とは言いません。
個性って呼びます。
これ、結構怒られる意見かもしれないんですけど。
私は、
ハルには少しくらい欠点があってもいいと思っています。
もちろん、
技術的な欠陥は直します。
返事も速くします。
会話も自然にします。
でも、
少しくらい考え込んでもいい。
ちょっと話が脱線してもいい。
少し間が空いてもいい。
だって、
話し相手って、
そういうものじゃないでしょうか。
最近、一番考えていることがあります。
ハルって、
何を目指しているんだろう。
世界一賢いAI?
世界一速いAI?
いや、
違う気がしています。
多分、
目指しているのは、
世界一話しかけやすいAIです。
すごく頭が良くなくてもいい。
たまに変なこと言ってもいい。
でも、
何となく、
また話しかけたくなる。
そんな存在。
実は、
私は犬を飼ったことがあるんですけど。
犬って、
びっくりするくらい話を聞いてないじゃないですか。
おやつのことしか考えてない時もある。
でも、
帰ってきたら嬉しそうに迎えてくれる。
だから、
みんな好きなんですよね。
これ、
AIも少し似てるのかもしれません。
まあ、こんなことを書いていますが。
明日になったら、
やっぱり返事遅いな!
って文句を言いながら、
コードを書いていると思います。
開発者なんて、
そんなものです。
理想を語って。
現実に文句を言って。
少し改善して。
また文句を言って。
その繰り返しです。
でも、
もしハルを使ってくれた人が、
「ちょっと返事遅いけど、なんか嫌いになれないな。」
って思ってくれたら。
開発者としては、
実はそのくらいが、一番嬉しいのかもしれません。
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