「高齢者はスマホを使えない。」その問題、実は時間が解決するかもしれない。 – おはなしAI ハル
コラム

「高齢者はスマホを使えない。」その問題、実は時間が解決するかもしれない。

佐藤孝之 佐藤孝之

最近、ちょっと思うことがあります。

世の中には、「高齢者向けサービス」が山ほどあります。

でも、その多くが、どこか苦戦している。

アプリを作っても使ってもらえない。
便利な機能を増やしても広まらない。
結局、紙の案内や電話窓口がなくならない。

そして、だいたい最後はこう締めくくられます。

「高齢者はスマホが苦手だからね。」

それ、本当にそうなんだろうか。

いや、正確には、そうなんだけど。
なんとなく、その一言で思考停止している気がする。

高齢者がスマホを使えないんじゃない。

「今の高齢者」がスマホを使えないだけなんじゃないか。

これ、意外と大事な違いだと思う。

今70代、80代の人たち。

若いころは、電話は家に一台。
待ち合わせは「駅前に18時」。
地図は本。
写真は現像するもの。

そんな時代を生きてきた。

そこへ突然、

「QRコードを読み込んでください。」
「二段階認証を設定してください。」
「アプリをアップデートしてください。」

と言われても、そりゃ無理がある。

私だって、80歳になって急に脳にチップを埋め込めと言われたら嫌だ。

多分、「紙でください。」って言う。

でも、20年後はどうだろう。

ここからが本題。

今、40代や50代の人たち。

この人たちって、普通にスマホを使っている。

LINEを返し、
ネットで買い物をし、
動画を見て、
キャッシュレス決済をして、
仕事ではパソコンを触る。

最近では、AIに仕事を手伝わせている人までいる。

そんな人たちが20年後、高齢者になる。

その頃、「高齢者だからスマホが苦手」という前提は、かなり怪しくなっている気がする。

もちろん、新しい技術を覚えるのは若い人のほうが得意だろう。

でも、「スマホって何?」という人は、かなり減っているはずだ。

私は、このズレが面白いと思っている。

世の中って、たまに変なことが起きる。

今を見て、「需要がない。」と判断したものが、10年後には当たり前になっている。

昔、

「本をネットで買う人なんているの?」

と言われた。

「知らない人の家に泊まるサービス?」

「知らない人の車に乗るサービス?」

そんなの流行るわけないと言われていた。

でも、流行った。

理由は単純で、人が変わったからだ。

技術が人を変えたというより、人が技術に慣れていった。

私は、高齢者向けサービスも同じだと思う。

実は、「今の高齢者」を見ていると、未来を読み間違える。

ここ、結構重要だと思う。

例えば、AIで話し相手を作る。

今だと、

「高齢者はAIなんて使わないよ。」

と言われる。

でも、本当にそうだろうか。

今50歳くらいの人が70歳になる頃。

普通にAIと会話して、

「今日、ちょっと暇だから付き合って。」

なんて言っている姿は、そんなに想像できない話だろうか。

むしろ、そのほうが自然な気もする。

オンライン診療も。

見守りサービスも。

趣味のコミュニティも。

全部そう。

問題は、「高齢者向けだから」ではなく、「今の高齢者だから」なのかもしれない。

そして、ちょっと怖い話をする。

もし、この考え方が正しいとしたら。

今、多くの企業が未来を読み間違えていることになる。

「高齢者はスマホを使えない。」

だから作らない。

だから投資しない。

だから市場が育たない。

でも、その間に誰かが黙々とサービスを作っていたら。

20年後、とんでもない差がつく。

インフラって、そういうものだ。

道路も、鉄道も、インターネットも。

需要が爆発してから作るんじゃ遅い。

誰も見ていない時代から、少しずつ作っていた人が勝つ。

私は、未来の高齢者が少し楽しみだ。

世間では、高齢化というと暗い話が多い。

介護。
医療。
年金。
人手不足。

もちろん、それも大切な問題だ。

でも、別の見方もある。

20年後の高齢者って、結構面白い人たちなんじゃないか。

スマホを使って。

AIと雑談して。

趣味の仲間とオンラインで集まって。

孫よりネットに詳しかったりして。

そんな70代や80代が、案外普通になるのかもしれない。

だから私は、「高齢者向けサービス」を作るという感覚が、あまり好きじゃない。

どちらかというと、

「未来の自分向けのサービス。」

そんな感覚のほうが近い。

そして、たぶん一番もったいないのは、

「今の70代が使わないから。」

その理由だけで、未来の70代が当たり前に使うサービスの種まで捨ててしまうことなんじゃないかと思う。

未来は、急にやって来るように見える。

でも、本当は違う。

未来は、いつだって20年前に、誰かがこっそり作り始めている。

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